物語もどき3

とある国に一人の青年がいた。
彼は大きな使命を持ってこの世に生を受けた。
その事を彼自身は知らなかったが、運命の波は彼をさらい、そして呑み込んでいったのだ。彼は、神を探せと使命を受けていた。

そして、幾年かの時が過ぎた。

彼は一度も神を視れずに息絶えた。生涯を終えるその時にも、神らしき者は現れず、彼は大層がっかりした。
しかし、次に目が覚めると、そこには大きな蛇がいた。蛇は言った。

「どうだ、神が何処にいるのか分かったか?」

青年は頭を振った。
蛇も大層がっかりした。
しかし、その胸の中にこそ神は要るとかつて誰かに教えられた事を思い出した青年はその事を蛇に教えた。すると、どうだろう、目の前にいた蛇は、一人の天人へと姿をすっかり変えてしまった。
青年に、元蛇は言った。

「あぁ、私はなんて事を。青年よ、よくも教えてくれたものだ。私はこれ以上蛇ではいられない。もう、気が付いてしまったからだ。では、青年よ、私と共に友人になってはくれまいか」

青年は、特に拒む理由も無いので承諾した。
これに関心した胸の中の神は二人を祝福した。
突然熱くなる胸に、二人は驚いたが、例の教えが本当であったと思い直してその胸に手を当てて尋ねた。

「貴方が神か。私は、貴方を探して随分旅をしてきた。何故、今の今までその姿を現してはくれなかったのですか。私は、生きているうちには貴方を見つけられなかった。使命は一体どうなるというのですか」

神は答えた。

「何故なら、神はこの世ではもはや忘れ去られたモノだ。
信じる者は救われず、神は死んだと誰もが思った。それでは、駄目なのだ。それでは」

神は尚も続けた。

「そなたのように、献身的な者でさえ、旅の目的を忘れる。そう出来ているのだ。人間という者は。そなたも旅の途中で、何となく思ったのだろう。神は一体どこにいるのだろう、とな。忘れるものなのだ。誰もが」

青年はようやく納得した。そして、己の胸の神に言った。

「では、私は始めからこうなる事が運命だったという訳だったのですか。運命など無いものと思っていた。神よ、これから私は何処へ行くのですか。もはやする事がない」

神は、青年を神の使いとして、己の手足として使いたいと言った。それは、まぎれもなく光栄な話しではあった。青年は二つ返事で是と答えた。青年の話しは風に乗り、あらゆる大地に広まっていった。神の帰還を、その声に乗せて届けたのだ。

神は帰還なされた。
これからも、人々は困難に立たされるかもしれない。
だがそれもまた個人の航海なのだ。
手を取り合い、この苦難を超えて、旅は続く。
そしていつかは神の膝下へとたどり着きこう叫ぶのだ。

「神よ、私は戻って来た!」

karamozu
絶賛統合失調症ライフを送っています、しがない人間です。どうぞ宜しくお願い致します。