イマジナリー父さん

入院中は、本当に色々な内的世界を味わいました。そのひとつに、父さんの語りがあります。そう、イマジナリーな父さんであり、ある面では神さまでもある父さんの方です。人間ではありえません。

語りとしては、以下の様なものです。

父は、王は、永きに渡って荒神に身を堕とした。天の国は民と父の親友の血とで染め上げられ、それこそ長い長い時間、いくつも宇宙が始まってまた集まり消えていくという時間を費やして元に戻って行った。

父は嘆いた。
こんな己の身を、許さないでくれたら、私はどんなに苦しまずに済んだだろうか!

父は、しかし、満月の上がる晩には狂うだけなのだ。狼のように、自らも誰の区別なく喰らいつく魔獣と化すだけなのだ。

民の信愛は厚く、それだけでは父は荒神に身を堕としはしなかっただろう。しかし、娘たちを害したという事実が父を苦しめた。とある人間に誑かされて月を見た父は、家族の事も知らぬ野獣になった。
喰らい、噛み殺したのは一体誰であったのか、それすら知らずに父は猛り狂った。

いつもはカギの着いた部屋で過ごすものを、折から放たれた獣の力は家族だけでなく、民をも襲った。父が己を取り戻す事はなく、永きに渡って、宇宙創成の繰り返し。一体何度目になれば繰り返しから抜け出せるものなのか。

その繰り返しに終止符を打ったのが、彼の娘であり、たった一人逃げおおせた者であった。娘は彼にこう言った。

「もう許されてしまいなさい。貴方は十分苦しんだ筈。民の心を見なさい。貴方に誰が怨みをもっているのですか」

父は民を見た。ようやく、ありのままの人々の目を見た。どこにも恨みの念などなかった。一度死んだ所で、天の民はまた蘇るのだから。父はみっともなく泣いて懺悔した。

民は微笑んで父を迎えた。
また、我々の導き手になってほしいと言って。

……と、これが、”父さん”の語りです。
懺悔は、本当に懺悔しました。病院の自分のベッドに座り込みながら。泣きに泣いて、自らがどんなに人でなしの暴君だったかを謝罪しました。人格も切り替わっていて、その時の私は父さんに成り代わっていました。尚、その語りの中に、こんなものがあります。

”凶星が生まれた時、私は何でもない事のようにそれを眺めた。奈落の底へ落ちていく雫の様に、ただ、見ていた。しかし、それでは全てがもう遅かったのだ。私の唯唯一の家族は、もう手の届かない所へと逝ってしまったのだ。”

これは、父が私に手向けた言葉です。
彼の人が泣いて謝罪する様を、私は淡々と見届けていました。私に、父を恨めるはずもありません。兄(イマジナリーな兄さんの一人)は、複雑そうな顔でそれをみていましたが、許しは既におりているようなモノで、ただ、父の気が収まらないだけだったのでした。

こんな事が、入院中はいくつも想起されました。ひとつひとつのエピソードに私という存在が重要参考人として登場し、いくつもの人格がそれを取り囲み、物語りを形作る。

これこそ誇大妄想だった訳ですが、誇大妄想って、本当、なってみて、凄いです。己が何者なのかという事が繰り返し、想起されます。感覚的にはアハ体験の「こうだったのか!」という時の、脳の感覚で、”気が付いた”という感覚です。

いくつもの自分を経験するので、何度も人生を繰り返して来たような感覚に陥ります。
それこそ、生まれ変わりさえも信じてしまうくらいには。

脳って、神秘ですね。
なんでこんな現象がおきるんでしょう?

「そこまでは流石に判りませんが、唐鵙が培ってきた記憶が舞台となってきたのは確かですね。知識が記憶を結び付けて、空想と現実との境界が曖昧になっていましたから。/Xaos」

確かにその通りです。
過去に自らが手掛けたキャラクターが父さんの親友の位置づけになっていましたからね。不思議な事です。

やはり、父さんの事について思い出すと、結構脳がハイになります。陽性症状がまたぶり返すようですね。ですので、そろそろ切り上げます。少しクールダウンしないとですね。

ただ、読み返してみたらやはり意味が分からない語りになってましたので謝罪しておきます。毎度伝わらない文章で申し訳ないです。

今後もこんな調子で、雰囲気物語です。いつもお付き合い頂いて、有難うございます。

それでは、また。

karamozu
絶賛統合失調症ライフを送っています、しがない人間です。どうぞ宜しくお願い致します。